写真作品集「傷心-Grief」

− 心に傷を負ったまま歩き続けた −

短編作品集でいうならば処女作品「傷心-Grief-」

位置的には、本作「赤いサングラス」の一場面
「”本物”を撮りたい」と思い立ち、短絡的ではあるが、「リストカット歴の女性」を探し、出会った。
彼女(このみちゃん)は「双極性障害」に悩み苦しみ、幾度と無く自殺未遂(飛び降りとかも)を繰り返したそうだ。この後も変わらず繰り返した。

「リストカットは全く痛くない」と言った。心の痛みが勝るからなのか、自分には分からない。理解しようとすればリストカットは”感染”する事を思い出し、考えるのをやめた。
死と直面している状態だからなのか、モデル未経験ながら彼女は、プロのモデル並のオーラを放っていた。
 例えば、ポートレート撮影の際、場所を変えようかと思い写真の世界から現実の世界へと意識が戻った際、背後に人の気配が……振り返ると20人くらいの人だかりが出来ていたのだ。耳を澄ませば、写真集か何かの撮影だと思っていたらしい。
撮影地は公園の隅っこ。しかも、レフ板もフラッシュも使っておらず、2人だけの撮影下……そんな状況下なのにだ。

 撮影終了後、管理事務所があるくらい大きな某公園内での帰り道。大きな木を目で追いながら「あの木の枝にモデルを登らせて撮影したら絵になるんだろうな。。でも、2mはあるし怪我させるだろうし断られるよな」なんて思っていたら、彼女が言った。
「あの木に私が登って、それを撮影するのはどうですか?」って。
ビックリした。初対面なのに互いの創造が芸術の形が合致した事に。
それでも、「怪我するからやめよう」と口をついた。
彼女は「それでもいい」と言う。
 本当に押し負けたのか、そう思うように偽ったのか、いずれにせよ撮影再開。

書くまでもなく警備員に見つかり、こっぴどく叱られたが……幸運にも、作品(物語の華僑)をおさめる事が出来てよかった。
※上記作品については、「自由と束縛」の作品内で公開している。

 今はもう連絡をとっていない。遠くへ引っ越した事で連絡をとるのをやめた。心のケアは俺の役目ではない。あくまでカメラマンとモデルの関係。
仮に、この世を去っているにしても、彼女は今も尚、写真の中で生き続けている。
本当に出会えて良かった。ありがとう、このみちゃん。

 

カメラマン Tatsuya
 

 

ー物語シリーズー